2025年、ついにANA傘下の中距離国際線ブランド「AirJapan」の運航の休止が発表されました。
AirJapanは評価も悪くなく、実際に私自身もバンコク線で利用しましたが、
「じゃあなぜZIPAIRは残って、AirJapanは止まったのか?」
この疑問を感じた人は少なくないはずです。
本記事ではAirJapanとZIPAIRの違いを「ビジネスモデル」と「旅行者心理」から解説しながら、
なぜZIPAIRがこの市場で生き残り、強いブランドとして定着したのかを考察していきます。

きつねです!これまでに海外20か国、50以上の航空会社を利用してきた経験をもとに記事を執筆しています!
AirJapan休止で何が起きたのか
2025年、AirJapanは事業としては短期間で幕を閉じることが発表されました。
→AirJapanお知らせ
就航開始前の期待値が高く、実際に利用者の評価も決して悪くなかったにも関わらず「ブランド休止」という判断が下されたことは、多くの旅行者にとっても驚きだったはずです。



私自身、AirJapanのバンコク線に搭乗したのですが、
機内は新しく、座席も十分な快適性があり、「この価格帯ならかなりアリ」と感じていました。
つまり “品質が悪かったから止まった” という理由ではありません。
AirJapanが撤退した理由は
「戦略としてANA本体に機材・運用資源を再集中する」方が収益が成り立つ
と判断されたからです。


一方、ZIPAIRは同じ「FSCでもLCCでもない中間領域」を狙っているのに、
いまも運航を続け、ブランドがむしろ定着してきています。
ここで次の問いが自然に生まれます。
なぜ AirJapan は止まり、ZIPAIRは成立しているのか?
この問いの答えが、ZIPAIRの「強さ」の本質です。
ZIPAIRは何が違うのか
AirJapanとZIPAIRのブランドの違い
AirJapanとZIPAIRは、どちらも「FSC(フルサービスキャリア)でもLCCでもない中間価格帯」を狙ったブランドです。
しかし、その“中間の作り方”が全く違いました。
AirJapanは
ANAのサービスを簡素化して、価格帯を中距離用に最適化したブランドでした。
ベースの思想は「ANAの価値のコア要素を残しつつ、コスト負荷の高い付加価値を省く」という方向です。
一方で、ZIPAIRは“ミニマルに削って、そこから価値を再構築する”という、ゼロ地点から価値を再設計した独立ブランドでした。



しかし、ブランドの違いは確かにあるものの、そこまで利用者が認識しているとは考えにくいですよね。
私が考える真のZIPAIRの強さはこの独自ブランドを早期に立ち上げたことだと考えています。


ZIPAIRには時系列の先行優位があった
ZIPAIRは2018年にブランドが発表され、2020年から運航を開始しました。



JAL系列の安心感があり、最新機材の787を活用して、LCCのように窮屈感がないにも関わらず、航空券が安いという新しい形の航空会社が発表され、当時とても楽しみだったのを覚えています。
コロナ禍を経て、国際線需要が戻り始める段階から市場に入っていたため、久しぶりに国際線を利用する人や、初めて海外に行く人の選択肢に入ることができました。
これによって、口コミや評価を積み上げてくることができたのです。
そして、AirJapanが発表されたのはZIPAIRの運航開始から遅れること2年、AirJapanは2022年にブランドが発表され、2024年に運航を開始しました。



発表時はZIPAIRのANA版だなという印象を持ってしまいました。
ZIPAIR成功要因①:“中間価格帯の基準”を先に取っていた
AirJapanとZIPAIRの差は、単純なサービス仕様の違いだけではありません。
ZIPAIRは「中間価格帯の正解ポジション」を先に確立していた ことが大きいと考えています。
そのため、旅行者は「フルサービスは高い」、「LCCは不安・不便」の間にあるちょうどいい選択肢として、ZIPAIRが比較軸の中心となっていました。
そのため、AirJapanは「ZIPAIRの代替」として評価されやすく、実績のあるZIPAIRが選ばれやすい環境が作られていました。



筆者がAirJapanのバンコク線を利用した際にも、ZIPAIRと比較して安かったためです。もし、同じ値段だったらZIPAIRを選んでいました。
ZIPAIR成功要因②:ZIPAIRは“快適だった記憶”を作りやすい仕様
ZIPAIRはすべて ボーイング787(787-8)で統一されています。
その結果、座席幅・圧迫感・静音性が“平均値より快適”という評価につながりやすいです。



筆者も、飛行機に詳しくない友人にZIPAIRを勧めたところ、LCCとは全然違う快適さにまた乗りたい!と評価していました。
この“満足の記憶” がレビュー・口コミに残り、「ZIPAIRは安いのに快適=また乗ろう」といういいサイクルが発生しているのだと思います。
そのサイクルを回すとともに、ZIPAIRは路線をアジアに留まらず北米にもどんどん拡大しています。
アジア方面で一度利用して快適だったので、北米便もZIPAIRを利用するというような好循環を作り出す環境が整えられています。
一方で、AirJapanはこの「記憶の差別化」が十分に積み上がる前にブランド集約となりました。



筆者も、バンコク線の搭乗経験がよかったので年末にソウル線を利用予定なのですが、予約した1か月後にブランド休止が発表されてしまいました。
成功要因③:国際線の“使いどころ”が旅行者の行動と一致していた
ZIPAIRは就航当初から国際線で「ちょうどいい距離・ちょうどいい旅」にフォーカスしていました。
ソウルやバンコクなどのアジア路線はフルサービスまではいらないが、LCCは少し不安と感じる代表的な路線です。
そしてホノルルやサンフランシスコをはじめとした北米路線はLCCが就航していません。
そこで、ZIPAIRはLCCよりちょっと高い、でも安さと快適性のバランスが一番いいという“正解ポジション”にハマったのです。



筆者が搭乗したバンコク線もそうですが、ソウル・シンガポール線も既にZIPAIRが就航していた路線です。
既にこの「正解ポジション」が比較基準としてZIPAIRに握られていた 状態だったのです。
AirJapan休止が意味する「ZIPAIRはしばらく揺るがない存在」
AirJapanがブランド休止(=リソースANA本体集中)という判断になったことは
「中間価格帯」というマーケットが消えた、という話ではありません。
むしろ、“中間価格帯の勝者はすでにZIPAIRで決着がついた”ということだと思います。
ANAにとっての最適解は
・国際線復活期の今は、ANA本体への集中
・AirJapanという別ブランドを今から育てるより、確度の高いところへ投資
となりました。
これは、もう中間帯は ZIPAIR が中心構造を握ってしまった、ということの裏返しでもあります。
そのため、この市場はしばらくZIPAIR優位が続く可能性が非常に高いと考えています。
AirJapan休止は、ZIPAIRの立ち位置の強さを市場全体に明確化させた出来事だった、と言えます。
まとめ:ZIPAIRは“価格・体験・心理”の3点で中間価格帯の勝者
AirJapanの休止で浮き彫りになったのは、「中間価格帯」という市場は小さくなったのではなく、すでにZIPAIRが 基準化 していたという事実でした。
この 3本柱を早期に積み上げられたからこそ、2025年の今 “中間価格帯ブランドの中心” にななることができています。
そして、この構造はしばらく続くのではないでしょうか。
つまり、ZIPAIRが積み上げてきた「中間×国際線」のブランド資産は短期では崩れにくいと思います。
AirJapanの休止はZIPAIRの強さを相対的にさらに際立たせる結果になった、と言える。



筆者もこれまでは、一応ZIPAIRとAirJapanの値段を比較してきましたが、AirJapan休止後はZIPAIR一択になると思います。
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