稚内を発車して札幌へ向かう特急宗谷。突然、車内放送が入りました。
「熊と衝突したため、安全確認を行います」
その後、列車は約3時間もの遅延。
最果て路線でのトラブル対応、深夜0時を過ぎても走行する特急宗谷。
普段は知ることのない「宗谷線の現実」を体験しました。
本記事では、
✅ 熊衝突時に何が起きたのか
✅ 乗務員さんの対応
✅ 遅延時の注意点・対策
を、すべて当日の記録をもとに解説します。
特急宗谷とは
1日1往復の特急宗谷
特急宗谷は札幌と日本最北端の街である稚内を結ぶ日本最北の特急です。
宗谷本線では、特急宗谷のほかに特急サロベツも運行されています。
特急サロベツは閑散期には1日1本の運転となります。
ラベンダー編成による運行

乗車日はラベンダー編成による運行でした。
特急宗谷は、原則キハ261系による運行です。
しかし、日によっては多目的特急車両であるピンク色の「はまなす編成」、ラベンダー色の「ラベンダー編成」によって運行されることがあります。
当日の運用車両はあらかじめ、JR北海道HPにて確認することができます。
乗車当日:衝突発生と対応
稚内駅~天塩中川駅を順調に走行
稚内駅を発車

特急宗谷は特急サロベツ1号の折り返し運用です。
特急サロベツ1号は稚内駅に17:25に到着して、特急宗谷は17:44に発車します。
稚内駅を発車すると、高架橋の上を走行し南稚内駅に向かいます。
南稚内駅を発車

南稚内駅を発車します。
南稚内駅の方が稚内駅よりも市街地に近く、多くの方が乗車します。
南稚内~抜海間の車窓

宗谷本線きっての絶景と言えば南稚内~抜海間の車窓でしょう。
景色が良ければ利尻富士も見ることができます。(本日は曇っており、見ることができませんでした。)
上りの特急宗谷は稚内駅を17:44に発車するため、多くの区間を夜の暗闇の中を走行することになります。
乗車したのは8月でしたが、なんとか間に合いました。
抜海駅を通過

稚内市内の風情ある駅、抜海駅を通過します。
豊富付近の原野を走行

豊富付近の車窓です。
この辺りは原野が広がっており、原野の中を颯爽と走行する姿がとても気持ちがいいです。
兜沼駅を通過

豊富町にある秘境駅である兜沼駅を通過します。
豊富駅を発車

豊富駅を発車します。
豊富町はセイコーマートの牛乳や乳製品で有名ですね。
天塩中川駅を発車

天塩中川駅を発車します。
天塩中川駅は木造駅舎でとても風情があります。
ここまではすべて順調に運行されていましたが、、
熊と衝突
熊と衝突してからの一連の流れをまとめます。
なお、車掌さんからは以下に記載した以外にも、情報共有の案内がなされています。
突然の急停車(19:29)
天塩中川を発車して、次の停車駅音威子府に向かって走行中に突然急停止しました。
北海道の路線はエゾシカなどの野生動物が多数出没する区間を走行するため、JR北海道で急停止はよくあることです。
そのため、エゾシカが出てきたのか、と思っていました。
しかし、車掌さんのアナウンスで、
車掌さんただいま、熊と衝突いたしました。確認いたしますのでしばらくお待ちください。
との案内が!
私自身、列車に乗っていてエゾシカと衝突したことはありましたが、熊と衝突したことは初めての経験だったため、とても驚きました。
車掌さんからけがの有無の確認(19:31)
急停車して数分後、車掌さんが声をかけながら車内をまわってくださいました。



お怪我をされた方はいらっしゃいませんか?
幸い、急停車でけがをした方はいなかったようです。
けがをしていた人がいたら、もっと複雑だったかもしれません。
線路の確認のため前進(19:34)
車内のけがの確認が終わった後は、線路の確認のため少しだけ前に進むことが放送されました。



線路の確認のため前に進みます。まもなく列車動きますのでお立ちのお客様ご注意ください。
熊が列車の下に潜り込みバック(19:36)
線路の確認のため、前進して停車したものの、熊の存在が確認できなかったようです。
そのため、一度バックし熊の存在を確認するとのことでした。



ただいま熊は、列車先頭車両の下にいると思われます。その関係で、列車いったん後ろに下がります。
その後、列車の下に熊が確認できました。



ただいま列車の下に熊が確認されました。これから関係各所と連絡を取ります。熊が大きく、この列車このまま進行することができません。
関係各所との連絡状況の共有(20:16)
関係各所との打ち合わせを行っていること、これからの流れが共有されました。



ただいまこの列車、熊と衝突し停車しております。只今入った情報によりますと、音威子府駅から救済列車が21:00頃こちらに到着し、熊を除去し、音威子府駅に救済列車が戻った後、この列車が発車できる見込みでございます。発車予定時刻につきましては、現在のところ、22:00頃の発車を見込んでいるとの情報が入っております。また、細かい情報が入って着次第ご案内いたします。列車発車までしばらくお待ちください。
急停車が19:30頃であるため、少なくとも約2時間半はこのまま運転見合わせすることが確定しました。
また、この間に最終目的地についてヒアリングがありました。
私は札幌が最終目的地でしたが、札幌から他の方面に乗換予定だった方にはタクシーを手配しているようでした。
救援列車が音威子府駅を発車(21:05)
救援列車が音威子府駅を発車しました。



ただいま入りました情報によりますと、救済列車が音威子府駅を発車致しました。こちらには21:30頃到着し、熊の除去が行われる見込みです。
この救援列車に猟師が乗っていると思われます。
救援列車が到着(21:35)
救援列車が音威子府駅に到着し、熊の除去作業を開始しました。



ただいま救済列車がこの列車の前方に停車しております。現在、これから熊の除去を行います。熊の除去が完了し、救済列車が音威子府駅に戻った後、この列車が発車できる見込みです。
熊の除去が完了(21:45)
熊の除去が完了し、救援列車が音威子府駅に戻る旨の案内がありました。



現在、熊の除去が完了し、救済列車が音威子府駅に戻っております。列車発車までもうしばらくお待ちください。
運転再開(22:20)
救援列車が音威子府駅に到着し、この列車もようやく発車です。



大変長らくお待たせいたしました。発車致します。揺れますのでご注意ください。
約3時間遅れでの運転再開となりました。
音威子府駅で車両点検
音威子府駅に到着後は車両点検が行われました。
車両点検には約10分ほど時間を要しました。
おそらく、熊と衝突した現場で乗務員が外に出て車両点検するのはあまりにも危険であるため、音威子府駅で実施したのだと思われます。
名寄駅発車後に軽食が配布される


名寄発車後は、ペットボトル入りの水とカロリーメイトが1人1つずつ配布されました。
JR北海道の落ち度ではないにも関わらず、配っていただき大変感謝です。
稚内駅~天塩中川駅を順調に走行
音威子府駅発車後は、他のトラブルには巻き込まれることなく無事に札幌に到着しました。
名寄駅を発車


23:44到着(3時間14分遅れ)
士別駅を発車


23:59到着(3時間12分遅れ)
和寒駅を発車


0:12到着(3時間12分遅れ)
旭川駅を発車


0:42到着(3時間16分遅れ)
深川駅を発車
1:03到着(3時間13分遅れ)
滝川駅を発車


1:15到着(3時間11分遅れ)
岩見沢駅を発車


1:40到着(3時間10分遅れ)
札幌駅に到着


2:10到着(3時間14分遅れ)


札幌駅前もこの時間になるととても静かです。
3時間遅れるとその後の移動はどうなる?
遅延すると気になるのがその後の乗り換え。
特に、深夜だと終電も気にしなければなりません。
しかし、今回乗車した列車は約3時間遅れのため、札幌駅到着は深夜2:10。
もちろんJRも地下鉄もバスも全て終わっています。
今回のケースでは、熊と衝突し、大幅遅延が確定した段階で、車掌さんより最終目的地の確認が行われました。
そして、札幌駅に到着後、一部の方はタクシー乗り場に案内されていたので、JR北海道がタクシーを手配していただいたのだと思います。(あくまで推測です)
大幅遅延に備えるチェックリスト
エゾシカとの衝突と大きく異なり、与える影響がとても深刻だということが分かりました。
まず、現場で真摯に対応してくださった乗務員のお二人には心から感謝いたします。ありがとうございます。
そして、札幌までかなり遅れはしたものの、車両自体に損傷がなく、安全に運行できたことはよかったです。
今回の体験から、“本当に役立ったこと/備えておけば良かったこと”をメモとして共有します。
①食料、飲料の調達
JR北海道の特急列車の車内には、自動販売機はありません。
そのため、車内で食料はもちろん、飲料すら購入することができません。
さらに、今回のように駅と駅の間で停車してしまうと、食料飲料調達は不可能です。
そこで、ちょっとした食料やペットボトルなどの飲料をあらかじめ購入してから乗車することが重要です。
今回私は、稚内駅のセイコーマートであらかじめ食料と飲料を買っていたので助かりました。
②スマホやPCの充電
特急宗谷の車両には基本的にコンセントはありません。
今や生活に欠かせないスマートフォンやPCですが、電源が切れてしまったら状況の把握や連絡など何もできなくなってしまいます。
そのため、あらかじめできるだけ充電をしてから乗車するのが重要です。
もしくは安全なモバイルバッテリーを持参するのも手だと思います。
③宿泊先ホテルへの連絡
大幅遅延が確定し、深夜の到着となる場合、早めに宿泊先のホテルにその旨を連絡するのが無難です。
最悪の場合、キャンセル扱いされてしまい、宿泊できなくなってしまいます。
まとめ:特急宗谷は大自然の中を走る貴重な列車
まさか私が乗車した特急列車が熊に衝突し、3時間も遅延することになるとは夢にも思っていませんでした。
宗谷本線を走行する特急宗谷は、それだけ大自然の中の鉄路ということを改めて思い知らされました。
当時、運行に関わった皆様に深く感謝したいです。
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