2026年3月をもって、ANAグループの新ブランド「AirJapan(エアージャパン)」が運航休止となることが発表されました。
まだ就航から2年足らず。
特に「成田発→アジア方面の中距離LCC寄り国際線」として期待されたブランドだけに、この動きは多くの航空ファン・旅行ユーザーの間で大きな話題になっています。
そして今回注目すべき点は、単なるブランド終了ではなく
「運航資源が ANA本体に再集中されること」。
となると、当然気になるのは──
エアージャパン787-8は、どの路線に回されるのか?
本記事では、AirJapanの運航休止によって発生する「空いたリソース」がどこへ向かうのか、可能性と戦略を考察していきます。
AirJapanとはどんなブランドだったのか
AirJapan(エアージャパン)は、ANAグループの中で「FSC(フルサービスキャリア)とLCCの中間」を狙って誕生した中距離国際線ブランドです。
ANA本体よりは価格を抑え、Peachほどの“LCC”ではない。その中間ゾーンに存在し、快適さと価格のバランスをとるポジションでした。
就航開始は2024年2月。機材はBoeing 787-8を使用し、成田から東南アジア路線を中心に展開。
座席数を増やして単価を下げるのではなく、サービスや座席品質は一定以上を維持しながら、ANA本体よりは費用感を抑えた「新しい中距離の選択肢」だったのが特徴です。
しかし現実には、この“中間ブランド”の立ち位置は想定以上に難しかったと感じています。
結果、限られた機材・クルーリソースをどこに投下するべきかと考えた時に、
「AirJapan」に回すより「ANA本体に集中したほうが総合効率・総合収益が高くなる」
という答えが出たのだと思います。
就航から2年足らずで運航休止という判断は、外から見れば驚きでしたが、資源制約(特に787機材遅延)を考えると、ANAグループの判断は非常に合理的なものだったと考えています。
なぜ運航休止となるのか
AirJapan運休の背景は「単純な撤退」ではなく、ANAグループ全体の最適化判断によるものです。特に以下3点が大きな理由として挙げられます。
① 機材不足(787納入遅れ)の長期化
ANAグループは、中距離~長距離路線の主力機材としてBoeing 787シリーズを多数運用しています。
しかし、コロナ禍以降の製造遅延・検査遅延が続き、機材繰りに余裕がなくなっているのが実情です。
AirJapanが使う予定だった787-8も、現状“ANA本体側”に回さざるを得ない状況が続いています。
→リソースが希少な状態なら、一番収益率の高い路線に集中投入する方が合理的ですよね。
② “中間ブランド”としての立ち位置が難しかった
AirJapanはLCCではない。しかしFSCのANAよりは安い。
このポジションは、旅行者が「比較で選びにくい」モデルでもあります。
その結果、差別化軸の弱さが出てしまったのではないかと考えています。

③ ANA本体ブランドの優先度上昇
現在の航空需要回復トレンドは
という“ANA本体ブランド”と相性が非常に良い形。
限られた787をAirJapanに回すより、ANAとしてのブランド価値を強めた方が、総収益が最大になる。
→ ここが最大理由だと思います。
機材(787-8)はどの路線に回されるのか【考察】
AirJapanで使われていた787-8は「中距離国際線」が最も効率が良い機材です。
北米・欧州のような長距離では、座席構成・搭載重量・燃費効率含めて、787-9のほうが収益効率が高い。
一方、アジア域(短距離〜中距離)こそ、787-8の燃費最適ゾーンです。
また旅客需要回復が最も力強い領域もアジアであるため、AirJapanの運航休止によって解放される機材を再投入するのであれば、
“アジア(東アジア+東南アジア)こそ最も合理的な再配備先”という前提があります。
その前提に立つと、AirJapanが抱える787-8は、「置き換え」「大型化」「増便」という3つのパターンに分かれる可能性が高いです。
今回はその中でも再投下先として有力だと考える ソウル / バンコク / クアラルンプール の3路線を対象に考察します。
ソウル:短距離高回転&安定需要の“稼働率確保路線”
ソウル(GMP)は航続距離としては明らかに短いですが、次の意味で787-8を回すメリットは大きいと考えています。
特に、日本〜韓国は週末旅需要が非常に強いため
「便数で稼ぐ」短距離維持ラインとして“稼働効率最大化用途” に向いています。
バンコク(BKK):787-8が最もハマる“中距離バランスタイプ”
バンコクはANA路線の中でも「レジャー+ビジネス+乗り継ぎ」のバランスが最も取れている路線。
次の3点から考えると、バンコクは再増強対象として最も可能性が高いとみています。
実際に、AirJapanでも成田-バンコク路線を運航しているため、AirJapan便がANA便に置き換わることを想定しています。
クアラルンプール(KUL):東南アジア中距離の“長期投資路線”
クアラルンプールは距離としてバンコクよりやや長い中距離ゾーン。
このゾーンこそ、787-8の燃費アドバンテージが最も活きる距離です。
また、KULは航空アライアンス接続価値が高い(特に南半球方面)のがポイント。
航空需要成長曲線(ASEANの経済成長)と、ANA国際線戦略上の長期投資領域が一致しており、
“未来の収益”を取りに行く路線になるポテンシャルがあると考えています。
AirJapan運航終了によって想定される影響
ANA本体の国際線セールが“アジア中心”で強化される可能性
AirJapanで設定予定だった枠がANA本体へ回ることで
東アジア/東南アジアの航空券セール頻度・設定路線の幅が広がる可能性があります。
→セール狙いの個人旅行者にとっては「狙い目が広がる」方向。
特に ソウル・バンコク のセールは、来年以降増えるシナリオは十分あり得ると考えています。
国際線特典航空券枠が変動する(上がる可能性も)
AirJapanの枠が消えることで、ANA本体の国際線側に枠が再配分されます。
ANAマイル利用者としては特典航空券を取りやすくなる可能性が高まります。
エコノミーだけでなく、ビジネスやプレエコの座席供給数も増加するため、こちらの特典航空券枠も増えることが想定されます。
今後 ANA の国際線戦略で注目すべきポイント
AirJapanの休止は「過去の出来事」ではなく、
これから2~3年の ANA 国際線戦略の方向性を読む“ヒント”になると考えています。
特に注目すべきポイントは以下の2つです。
2026年夏ダイヤ前後の「便数計画」
2026年の夏ダイヤは、ANA国際線戦略の“答え合わせ”になるタイミングです。
AirJapanで確保する予定だった機材・人材・運航枠が、実際どこの路線に反映されるのかは、このダイヤ改正で可視化される可能性が高いです。
→ ここでソウル・バンコク・KUL の動きが出たら“確定に近い”。
中距離LCC市場への再挑戦が本当に無いのか?
AirJapanの撤退=「この領域が撤退」ではないと思っています。
むしろ、次のことを進めて、将来再びこのゾーンへ戻る可能性も十分に高いと個人的には考えています。
そのため、今回のAirJapanブランド休止は”撤退”というよりかは、“ANA全体戦略の再編成”と捉える必要がありそうです。
まとめ
AirJapanの運航休止は「ブランドの終了」ではなく、ANAグループ全体の再資源配分の判断です。
限られた787を、より収益効率の高い路線へ集中させるための戦略的撤退。
ANAの路線需要・787の性能・市場回復の3点から、北米や欧州ではなく、東アジア、東南アジアへ回すと考察しました。
そのため、ソウル / バンコク / クアラルンプール が “AirJapan後” のANA国際線を象徴する路線になる可能性が高いと考えています。
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