「ANAとJAL、どちらが安全?」「揺れにくいのは?事故はどっちが多いの?」
飛行機を予約するとき、こうした不安を持つ方はとても多いです。
特に、子ども連れや海外で航空事故があった際には、“どの航空会社なら安心できるか” が重要な判断軸になります。
そこで本記事では、データと実体験ベースで安全性を分かりやすく徹底比較していきます。
この記事を読んでわかること
・安全性への国際評価(AirlineRatings)
・過去の事故やインシデント
・運航品質
・整備・点検体制
・使われている機材
・パイロット・CAの訓練体制

きつねです!これまでに海外20か国、50以上の航空会社を利用、航空業界に5年以上勤務してきた経験をもとに記事を執筆しています!
国際評価(AirlineRatings)で見るANAとJALの安全性
ANAとJALが「どちらも世界トップクラスに安全」と言われる理由のひとつが、AirlineRatingsによる国際評価です。



まずは、ANAとJALが第三者から安全性をどのように評価されているのか見ていくよ!
AirlineRatingsとは?
AirlineRatingsは、世界中の航空会社を 安全性・機材・監査・運航品質 など多方面から評価する世界最大級の航空安全専門サイトです。
評価項目は大きく次の8つで、“総合的な安全性”を数値化してくれる指標です。
航空業界の内部でもよく参照される、信頼性の高い評価機関です。
ANAの安全性評価



AirlineRatingsについて分かったところで、まずはANAの評価を見てみよう!
ANAはAirlineRatingsにおいて安全度7/7点(最高評価) を長年維持しています。
ANAが評価されているポイントは以下の通りです。
ANAの評価ポイント
・重大事故歴が極めて少ない
・機材更新が積極的
・整備体制が厳格で国際基準を満たす
・パイロット訓練プログラムの質が高い
・IOSA(IATAの安全監査)を完全クリア
こうした理由から、常に “世界の安全エアラインランキング上位” に入っています。
JALの安全性評価



次にJALの評価についてみてみよう!
ANAは★★★★★★★で満点だったけど、JALはどうかな?
JALもANAと同様に安全度7/7点(最高評価)を獲得しています。
JALが特に評価されている点は次の通りです。
JALの評価ポイント
・安全改革以降、安全文化の質が大きく改善
・機材更新が進み、A350など最新鋭機が増加
・運航品質が非常に高い
・緊急時のマニュアル・訓練が細かい
・整備記録・安全管理体制が厳格
AirlineRatingsでは、ANAとほぼ同じ評価を受けており、どちらも世界最高レベルの安全性を持つ航空会社 とされています。
ANAとJALの事故・インシデント比較
安全性評価はANAもJALもどちらも満点ということは分かりましたが、次のような疑問が生じると思います。
安全性評価どちらも満点だけど、ANAとJALはどういう違いがあるの?



ここからはANAとJALの違いについてみていくよ!
まずは過去の事故から確認していこう!
ANAもJALも、近年は 重大事故ゼロを維持しており、国際的に見ても「極めて安全な航空会社」です。
ただし、過去の事例を理解しておくことは両社の現在の安全性を判断するうえで役に立ちます。
ANAとJALの重大事故の歴史
JAL:1985年JAL123便墜落事故
JAL123便墜落事故は世界最大の単独機事故です。
JALは1985年に深刻な事故(123便)を経験しており、この出来事が JALの“安全文化”を根本から変える転機になりました。
JAL123便事故
・原因:後部圧力隔壁の破損(整備ミスの蓄積)
・発生時期:40年以上前(航空安全技術が現在とは全く異なる時代)
・事故後:安全改革を徹底(整備体制・教育・マニュアルを全面見直し)
現在のJALの安全水準は、この事故を境に劇的に改善されているという点を正しく理解する必要があります。
ANA:高知空港胴体着陸事故
ANAは1980年代以降、死亡事故を起こしていません。
2000年以降の事故として、インパクトが大きい事故は高知空港胴体着陸事故です。
高知空港胴体着陸事故
・原因:ボンバルディア社(航空機メーカー)の製造工程におけるボルト付け忘れ
・事故後:整備体制の強化と同型機の退役(2026年以降)
近年のインシデント



近年はあまり事故の話は聞かないけど、実はインシデントは毎年のように複数回発生しているんだ!
次はANAとJALの近年のインシデントを見ていくよ
近年(過去10〜15年)は両社とも大きな事故ゼロという状態が続いています。
ANAの近年のインシデント
まずはANAのインシデントをまとめます。
ANAの2010年以降のインシデント
・2010年9月:那覇発羽田行きの機体が急降下
・2012年5月:伊丹発仙台行きの機体がゴーアラウンド時に機体後部を滑走路に接触
・2012年6月:成田着陸時に機体損傷
・2012年12月:庄内空港着陸時にオーバーラン
・2013年12月:羽田空港離陸後にエンジン内部損傷
・2017年1月:新千歳空港着陸時にオーバーラン
・2019年8月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
・2020年4月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
・2022年6月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
・2024年2月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
・2024年4月:米子空港着陸時に極度の高度低下
・2025年1月:機体の揺れによる乗客乗員のけが



最近は機体の揺れによるけがが頻発していることが分かるよね
大きい飛行機と小さい飛行機はどっちが揺れやすいの気になる人は次の記事がおすすめ!


JALの近年のインシデント
続いて、JALの2010年以降のインシデントをまとめます。
JALの2010年以降のインシデント
・2012年3月:羽田空港にてゴーアラウンド時に機体後部が滑走路に接触
・2012年11月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
・2012年12月:花巻空港着陸時にスリップし滑走路から逸脱
・2014年4月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
・2014年9月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
・2016年11月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
・2017年9月:羽田空港離陸時にエンジン内損傷
・2018年6月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
・2020年12月:那覇空港離陸時に左エンジン損傷
・2022年3月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
・2023年1月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
・2023年7月:残燃料不足による緊急事態の宣言
・2023年11月:シアトル・タコマ空港における管制指示取り違え
・2024年1月:羽田空港地上衝突事故
・2024年2月:サンディエゴ空港における管制指示取り違え
・2024年4月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
・2024年4月:羽田空港離陸後に無線機故障
・2024年9月:機体の揺れによる乗客乗員のけが
事故率の国際比較


国際的な事故率(100万フライトあたりの重大事故件数)で見ると、ANAもJALともに世界でも最も低い水準 に位置します。
特に日本の航空会社は次の特徴を持っていることから、世界屈指の安全水準を維持し続けています。
日本の航空会社の特徴
・IATA(国際航空運送協会)の安全監査
・FAA(米連邦航空局)基準の遵守
・国土交通省の厳格な監査
・日本の航空行政の安全性の高さ


ANAとJALの運航品質の比較
ANAとJALの安全性を比較するときに、事故やインシデントの有無に目が行きがちですが、
実際の利用を考えたときに一番困るのは遅延や欠航です。



ここではANAとJALの実用面の観点から2つの航空会社の信頼性を比較しよう!
遅延率(定時到着率)の比較
まずは遅延率を定時到着率という数値を比較します。
定時到着率のため、数字が高いほうが遅延が少ないということになります。
国際的な航空データ分析会社 Cirium(シリウム) の統計によると、ANA・JALは毎年のように「世界で最も時間に正確な航空会社ランキング」に入っています。
2024年はJALの定時到着率がわずかにANAを上回り、アジア・パシフィック部門で1位となりました。
一方で、ANAは2023年まで5年間連続で1位を獲得し続けていました。
欠航率の比較
次に欠航率を比較します。
これは運航予定だった便数に対して、実際に欠航になった便数の割合を示しているため数字が低いほうが欠航が少ないということになります。
欠航の要因としては、天候によるもの、機体の不具合、機材繰りによるものが大半を占めます。
このように、安全側に振った判断がほぼすべてだと言えます。
これは不便に感じる人もいますが、裏を返すと危険な状態で無理に飛ばさない航空会社という証拠です。
ANAとJALの整備体制の違い
ANAとJALの安全性を語るうえで、最も重要なのが 「整備体制」 です。
機体がどれだけ新しくても、整備が甘ければ安全性は保てません。



次にANAとJALが安全に飛行機を飛ばすためにどんな体制で整備しているのか見ていこう!
ANAの整備体制
ANAは、航空会社の中でも特に「整備マニュアルの厳格さ」「工程管理の緻密さ」 に定評があります。
自社グループ整備比率が極めて高い
日本国内の主要空港ではほぼ全ての整備をANAグループの自社整備士が担当しています。
委託整備が少ないため、品質のばらつきが起きにくいのが強みです。
“二重チェック・三重チェック”の工程が徹底
ANAの整備品質が海外で高く評価される理由がこれです。
作業者>監督者>管理者という3段階のチェックを行うため、ヒューマンエラーが極めて起きにくい構造 になっています。
最新機材(B787)を中心に整備ノウハウが蓄積
ANAはB787を世界で最初に商用飛行した航空会社です。
そして、B787はANAの主力機材として多くの便を運航しています。
そのため、保守ノウハウが蓄積されており、運航の安全性につながっています。
JALの整備体制
JALの整備体制は、1985年の事故を経て 「世界でも最も慎重で厳格なレベル」 まで改善されました。
“安全最優先”の姿勢が全社文化として浸透
JALは事故以降、整備・運航・教育すべてで 安全最優先文化 を徹底しています。
現在のJALの整備体制は、「安全のためなら欠航も辞さない」というレベルに達しており、
これは航空安全の世界でも高く評価されています。
自社グループで整備を一括管理
JALは整備部門を専門会社化しており、整備基準や教育体制が“航空会社以上に専門性が高い”のが特徴です。
整備基準の統一や教育マニュアルの細分化、チェック体制の高度化など、安全文化を制度として強固にしています。
機材の安全性比較
ANAとJALの安全性はともに世界トップクラスですが、「どの機材をどれだけ使っているか」 には明確な違いがあります。
機材(機体タイプ)は安全性や揺れの感じ方に影響するため、“どちらが自分に合っているか”を判断する上でも重要です。
ここではANAとJALの主力機材についてまとめます。



ここではANAとJALが保有する機材の違いを見ていこう!
機材について詳しくない人のために、写真も多めに入れたよ!


B787


B787はANAが世界初導入したことで有名な機材で、日本のメーカーも多く携わっています。
B787の特徴
・機体が軽く揺れの吸収性が高い
・客室の与圧が低く、疲れにくい
・エンジン性能が安定している
ANAは世界で最も多くの787を運航している航空会社で、国内線・国際線ともに多くの便で運航されています。
JALの787は国内線での運航は少なく、主に国際線で活躍しています
A350


A350はJALのみ導入を進めている最新機材です。
A350の特徴
・機体の強度が高く、揺れに強い(乱気流で安定)
・安全基準が最新(欧州の厳しい認証をクリア)
・機内の静粛性が非常に高い
・燃費性能が良いため、エンジン負荷が低い
JALは次に紹介するB777の置き換えとしてA350を導入しており、A350は国内線・国際線ともに活躍の場を広げています。
B777


B777は世界中で長距離線の主役になってきた機材です。
B777の特徴
・エンジン・機体構造の信頼性が非常に高い
・乗り心地が安定
・大型機で揺れにくい
ANAはこれからもB777シリーズを保有し続けますが、JALはB777からA350への置き換えを進めており、将来的にはJALのB777はなくなる見込みです。
B737/A320


B737やA320は短距離・中距離で使用する小型機材です。
B737/A320の特徴
・小型機は大型機より“揺れを感じやすい”
・ただし安全性には問題なし
・最新型(737-8/ A321neo)は性能が高い
JALは小型機はB737-800に集約させることで効率化を図っています。
ANAはB737-800、A320シリーズを同程度保有しています。
ANAのA320シリーズのほとんどの機材には各座席にモニターが付いており、とても快適な空の旅を楽しむことができます。
機材の安全性比較のまとめ
ANA/JALどちらも最新の機材を多く運航しており、安全性に優劣はほぼありません。
違いが出るのは次の3点です。
つまり、安全という前提の上で、どの機材が好きかで選べばOKです。
ANAとJALのパイロット・クルーの訓練体制の比較
航空安全を左右するのは 機材だけではなく、最終的には“人”の質 です。



ここまでは機材の違いについてみてきたから、
次はその機材を扱う人に着目してみよう!
パイロット訓練
パイロットの訓練は、ANA・JALともに 国際基準+自社基準 で行われています。
パイロット訓練で共通するポイント
・フライトシミュレーターでの定期訓練
・緊急時のシナリオ訓練
・再評価試験が定期的に実施
・機種ごとに認定が必要
・“安全上の判断”を優先する訓練
航空会社によって差が出やすいのは、訓練の頻度・安全文化・評価の厳しさ です。
ANAのパイロット訓練
ANAは特に 技術教育の細かさ が特徴です。
ANAの強み
・シミュレーター保有数が多く、訓練頻度が高い
・新機材の訓練ノウハウが豊富
・操縦ミスを防ぐクルー・リソース・マネジメントが徹底
・技術チェックが細かく、合格基準が高い
JALのパイロット訓練
JALは、事故を経験した会社として“判断力”を鍛える教育が非常に強いのが特徴です。
JALの強み
・状況判断を鍛える訓練に重点を置いている
・危機回避シナリオのバリエーションが多い
・安全文化の教育が全社横断で強い
・“安全最優先判断”を徹底するよう習慣化されている
JALの訓練は「経験値の浅い段階から安全の優先順位を叩き込む」傾向があります。
客室乗務員(CA)の訓練
ANA・JALともに、客室乗務員の訓練は非常に厳格で、一般的なイメージ以上に “安全要員”としての役割が重視 されています。



2024年の年初に発生したJALと海上保安庁との羽田空港衝突事故で、JALの乗客が皆安全に避難できたのはCAさんのおかげだよね
共通する訓練内容
・緊急脱出訓練(スライドでの脱出)
・機内火災の消火訓練
・客室での急変対応
・CPR(心肺蘇生法)
・緊急着水の対応
・乱気流発生時の乗客保護
用途別おすすめ(あなたに合うのはANA?JAL?)
ANAとJALは安全性・整備・運航品質のどれを取っても世界トップクラスです。
そのため “安全性で優劣をつける必要はない” のが現実です。
違いが出てくるのは、利用する路線・旅行スタイル・個人の好みといった部分。



ここからは私の経験も踏まえて、
じゃあANAとJALどっちがいいの?という問いに答えていくよ!
揺れが苦手な人


揺れの感じ方には 機材の差 が関係します。
A350を多く保有するJALも捨てがたいですが、大型機の777や揺れの吸収に優れた787を多く保有するANAがおすすめです。
初めての海外旅行の人
海外旅行で初めて飛行機に長時間乗る人にとっては、CAの気遣いやアナウンスの丁寧さが安心材料になります。
ANA、JALともに安全性は極めて高いですが、日本的な丁寧で柔らかい安心感のあるJALがおすすめです。
マイルの使いやすさで選ぶ場合
マイルの使いやすさで考えたときに、ANAとJALには明確な違いがあります。
ANAは特典航空券が取りにくいことで有名です。
一方でJALは、特典航空券の必要マイルが変動制のため、満席になりにくいものの、いい日程では高額なマイルが必要になることがあります。
そのため、マイルを使うことができる日程にある程度自由がある場合にはANAが、縛りがある場合にはJALがおすすめです。
とにかく“安全性”で選びたい場合
これまで説明してきたように、ANAもJALも安全性は同等で、どちらを選んでも世界最高レベルです。
航路の違いや機材の違いの方が“揺れやすさ”に影響します。
FAQ(よくある質問)



ここでは私がよく読者さんや友人から受ける疑問をまとめたよ!
ANAとJALはどちらの方が“安全”ですか?



ANAもJALも安全基準は同等で、どちらが上という優劣はないよ!
AirlineRatingsではどちらも最高評価の★7を獲得していて、重大事故も40年以上ないからね。
違いが出るのは 快適性・路線・機材構成 の部分だよ!
揺れにくいのはANA?それともJAL?



揺れやすさは航空会社ではなく 機材(飛行機の大きさ)と天候 で決まるんだ!
だから、中国の航空会社であってもアメリカの航空会社であっても機材と天候が同じであれば、揺れ方は一緒なんだ!


機体トラブルが起きた場合、ANA/JALで対応は違いますか?



対応はほぼ一緒だよ!
・無理に飛ばさず、しっかり点検
・安全のためなら欠航になることもある
私も、エンジントラブルで国際線で12時間遅れになったこともあるよ!
まとめ|ANAとJALはどちらも“世界最高レベルの安全性”
ANAとJALの安全性を、国際評価・事故率・運航品質・整備体制・機材・訓練・サービス面から比較しました。
結論は明確で、ANAもJALも安全性は世界で最も高いレベルにあり、どちらを選んでも安全性に差はありません。
両社が常にAirlineRatings最高評価(★7)を維持し、重大事故が40年以上ないという事実は、
世界的に見てもごく一部の航空会社しか達成していません。
安全性に違いがないからこそ、
・路線の便利さ
・機材の揺れやすさ
・サービスの好み
・マイルの使いやすさ
といった 自分の“旅の軸” を基準に選んで問題ありません。
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