【2025年12月】JAL株は今後紙くずになる?株価が下落する理由は?IR資料から今後の見通しを徹底解説!

JAL株は今後紙くずになる?株価が下落する理由は?IR資料から今後の見通しを徹底解説!

JAL株、最近下がってるけど……これって“危ない”の?紙くずになるリスクはある?と不安になる方も多いのではないでしょうか。

JALは2010年に経営破綻した過去があり、そのイメージによって今でも「JAL株は危険」「紙くずになる」と言われがちです。

しかし、2025年のJALは当時とはまったく別の企業です

そこで本記事ではJAL株を旅と投資の両方を軸にした視点で分かりやすく整理しました。

この記事を読んでわかること
直近の株価の推移と決算のポイント
JALの財務体質
JAL株が下落・急落するタイミング
JAL株の将来性
JAL株に投資するメリット/デメリット
JAL株が向いている人/向いていない人

きつねです!これまでに海外20か国、50以上の航空会社を利用してきた経験をもとに記事を執筆しています!

目次

直近のJAL株価・決算の確認

JAL株価の推移

GoolgeFinanceより

直近1年間の株価推移を見ると、やや上昇傾向にあることが分かります。

アメリカトランプ大統領の関税発表を受けて4月頃に一時的に大きく下落した場面がありますが、その後は上昇を続けて3,000円前後で推移しています。

直近の決算のポイント

JAL2026年3月期第2四半期決算発表資料より

2025年10月に2026年3月期の中間決算がありました。

特に注目されたのが以下の2点です。

2026年3月期第2四半期決算のポイント
・売上収益が過去最高を達成
・国際線旅客数が前年同期比10%増加

国際線の座席利用率も上昇したため、整備費や人件費といった費用の増加を吸収することができました。

JAL株は危ない?紙くずになる?

JALが「紙くず」と言われる理由

2010年、JALは経営破綻し、株価は事実上“紙くず同然”になりました。

この出来事は非常にインパクトが大きく、またつぶれてしまう可能性があるのでは?JAL株は危ない?JALの株は持たない方がいい?という不安を持つ人も少なくありません。

しかし、2010年の破綻は 特殊な条件が重なったことによる出来事であり、
今と同じリスク構造ではありません。

当時といまのJALは「財務体質・事業構造」がまったく異なる

破綻前のJALは、以下のような特徴を持っており、構造的に倒れるべくして倒れた状態でした。

破綻前のJALの状況
・過剰な人員を抱える
・過剰な路線数
・高コストな機材を複数所有

一方で、今のJALは次のような特徴を持っており、破綻前とは完全に別物となりました。

現在のJALの状況
・労働生産性の改善
・機材の更新・統一化
・国内線の安定収益
・国際線のリスク管理強化
・コスト構造の大幅な軽量化

破綻直後には国の管理下で“スリム化”され、
今のJALは当時とは比べものにならないほど健全な体質になっています。

現在のJALに“破綻・紙くず”リスクが小さい理由

以下の状況から、2010年と同じようなJAL株が紙くずになるリスクは現実的ではありません

もちろん株である以上、外部要因による下落の可能性はありますが、
紙くずになるリスクは極めて低いです。

次に、下落・急落するタイミングはいつなのかまとめます。

JAL株が急落するタイミングとは?株価が不安定な理由

JAL株が急落しやすい3つのタイミング

燃油価格が急騰したとき

航空会社のコストの中で最も大きいのが「燃油費」です。

WTI・ブレント原油が高騰すると、次のような流れで短期的に急落することがあります。

燃油価格が急騰したときの株価の動き
・燃油価格増による費用増 → 利益が圧迫
・先行き懸念 → 投資家が売る
・株価下落

円安(為替が不安定)のとき

「円安=旅行者増でプラスでは?」と思う人もいますが、それ以上にコスト増のインパクトのほうが大きい場合があります。

円安がJALに与える影響
・海外での支払いコスト増
・燃油サーチャージ上昇
・海外での整備・人件費が増える

結果として、円安局面では JAL株が下落しやすくなります

地政学リスク(戦争・テロ・感染症)が発生したとき

2020年のコロナショックのときのように、旅行需要が急減すると路線の縮小を余儀なくされ、売り上げが急減するという構造的なリスクがあります。

JAL株が急落した過去の事例

JAL株の特徴をもっと正確に理解するために、過去に実際に株価がどう動いたか を整理してみます。

2020年:コロナショックでの急落

記憶にも新しいですが、新型コロナウイルスのまん延によって世界的に移動が制限されました。

その結果、航空需要は国内線・国際線ともにほぼゼロの状態となりました。

コロナ前後での株価の動き
・コロナ前:3,000円台
・コロナ直後:1,700円台まで下落

上場以来最大級の下落でしたが、
国内需要の回復に伴い、株価はその後 2,500~3,000円台へ戻しています

2016年:中国の景気低迷

2016年にはそれまで好調であった中国経済について、経済指標の鈍化がみられました。

2016年の株価の動き
・2016年年初:4,000円台前半
・2016年後半:3,000円台前半まで下落

ただ、その後約2年間かけて2018年には4,000円台前半に戻ました。

JALの業績・財務は大丈夫?

JALは2010年に経営破綻を経験した企業ですが、現在の財務基盤は当時とはまったく異なります。

ここでは、破綻リスクの観点で最も重要な 負債・キャッシュフロー・安全性指標 を“数字で”確認していきます。

ここからは財務体質について確認していくよ!

負債・キャッシュフロー・安全性指標は健全か?

有利子負債

JAL統合報告書より筆者作成

JALの有利子負債はコロナ以降に急増しましたが、それでも ANAに比べると総額は低い水準 です。

そのため、「借金が重すぎて倒れる」タイプのリスクは低いと考えられます。

ANAの財務体質は次の記事でまとめているから、比較すると違いが鮮明になるよ!

営業キャッシュフロー

JAL統合報告書より筆者作成

営業キャッシュフローを確認すると、コロナ禍の2020年と2021年は営業キャッシュフローがマイナスでした。

しかし、2022年に大幅にプラスに転じて以降、上昇を続けています。

自己資本比率

JAL統合報告書より筆者作成

航空会社の自己資本比率は、航空機の購入やリースの費用のために、他の業界と比べると低くなりがちです。

その中でも、JALはコロナ以降も35%前後の水準をキープしています。

JALの破綻前の自己資本比率は10%以下だったため、現在は比較にならないほど改善していることも分かります。

ANAとの財務比較

以上を踏まえて、JALとANAを比較すると次のことがいえます。

財務の安全性 JALの方が健全
・借入額:JALの方が少ない
・固定費の重さ:ANAより軽い

財務の安全性という観点では、JALが優位です。

成長性ANAが圧倒的に強い
・国際線の就航地/便数が多い
・大型機材の運用で利益率が高い

成長余地の観点では、ANAの方が優位です。

そのため、JALの財務は破綻前と比べて劇的に改善され、現在は 倒産リスクは非常に低い状態となっています。

ただし、株価という観点では、原油・為替による利益圧迫、ANAに劣っている国際線ネットワークが株価の上値を抑える要因となっています。

中期・長期でJAL株はどうなる?将来性を2つの要因から予測

JAL株の将来性を判断するには、「航空会社が何に強く、何に弱いのか」を分解して見る必要があります。

ここでは今後の株価に最も大きな影響を与える2つの要因をもとに、JALの中期・長期の見通しを整理します。

国際線の拡大余地

JALが抱えている構造的な課題はANAに比べて国際線の利益率・拡大余地が小さいことです。

収入規模で見ると、2023年以降国際線収入が国内線収入を上回っていますが、次の問題点があります。

国際線の拡大余地を見据えた問題点
・供給できる座席数がANAより少ない(ANAよりも小型の機材での運航が多い)
・大型機材を含めた成長投資が限定的

そのため、国際線の長期成長では、ANA>JALという構図が続く可能性が高いです。

パイロット・整備士の供給問題

2030年頃にかけて、航空業界全体がパイロット不足の時代に突入すると言われています。

JALは経営破綻時に採用数を極度に減少させていたことから、特定の年齢層がすっぽり抜け落ちている状況です。

もちろん、その後の採用や中途採用で補ってはいるものの、世界的にパイロットの奪い合いが起こっています。

そのため、パイロットの採用が進まない場合、長期的に見ると路線拡大ペースの鈍化によって、収益機会の減少につながってしまいます。

JAL株のメリット・デメリットを整理

JAL株は、航空株の中でも“安定”と“値動きの激しさ”を併せ持つ独特の特徴があります。

ここでは 投資判断の軸 になるように、メリット・デメリットを整理します。

JAL株のメリット

財務の安全性が高く、倒産リスクが低い

JALは2010年の破綻を経験した企業ですが、その後は財務基盤が劇的に改善しています。

これまでまとめてきたように、財務面の安全性が高いです。

JALは財務の安全性が高い
・自己資本比率は航空会社としては高水準
・有利子負債はANAより少ない
・キャッシュフローも安定してプラス

破綻前とは全く別企業と言えるほど体質が改善しています。

国際線収入が増加

これまで、2018年を除いてJALは国内線の収入が大半を占めていました。

しかし、2023年以降国際線の収入が国内線の収入を上回るようになりました

日本国内の人口減少が進んでいく中で、JALの稼ぎ頭が国内線から国際線にシフトし始めており、今後の動向に要注目です。

JAL株のデメリット

国際線でANAに劣っている

先ほどJALは国際線収入が増えている点は触れましたが、以下のような理由から構造的な成長力はANAの方が上です。

ANAと比較したときのJALの弱み
・国際線の座席供給が小さい
・国際線の就航都市数が少ない

JAL株はどんな人に向いている?

JAL株は「成長株」ではなく、安定と優待を重視したい人向けの銘柄です。

ここでは、「どんな投資家がJAL株と相性が良いのか」を整理します。

JALの優待を使う予定がある人

JAL株の最大の魅力は 株主優待です。

そのため、次のような方はJAL株が向いています。

JAL株が向いている人
・帰省でJALをよく使う
・毎年JALで国内旅行する
➡割引効果が大きい

こうした人にとって優待の価値は非常に高く、”実質的な値上がり益”であるともいえるでしょう。

“安定株”をじっくり持ちたい人

これまでまとめてきたように、JAL株は次のような特徴があります。

JAL株の特徴
・財務安全性が高い
・過度な投資をせず堅実
・中長期では業績が安定しやすい

つまり、一撃で大きな利益を狙う株ではなく、じっくり積み上げたい人向けの株といえるでしょう。

旅好きでJALが好きな人

これは意外と重要なポイント。

株は数字だけではなく、自分が応援したい企業を持つとストレスが少ないです。

そのため、次に当てはまる人は、心理的にもJAL株と相性が良い です。

心理的にJAL株と相性がいい人
・JALのサービスが好き
・JALの安定感があって丁寧なCAさんを応援したい
・ANAよりJAL派

JAL株はどんな人には向いていない?

JAL株は「安定志向」で魅力のある銘柄ですが、投資スタイルによっては 向かないケース があります。

ここでは、JAL株より ANA株や他業種の方が合うタイプ を整理します。

国際線の成長に期待したい人

JAL直近では国際線の収入が増えてきていますが、成長力・路線網・収益性 ではANAに差があります。

国際線におけるJALとANAの違い
・欧米路線のネットワーク → ANAが優位
・大型機の運用力 → ANAが強い
国際線の拡大や利益成長に期待する人 → ANA株の方が向いています。

JALは堅実運航ですが、“国際線でガツンと伸びる銘柄”ではありません。

成長性を重視したい人

成長性を考えたときのJALとANAの違いをまとめます。

成長性を考えたときのJALとANAの違い
●JAL
・借金(有利子負債)が少ない
・財務は健全
➡基盤はしっかりしているが、大きな成長はしにくい

●ANA
・投資を積極的に行う
・国際線ネットワークが充実
➡株価が大きく伸びる可能性がある

株価の安定した右肩上がりを求める人

JAL株は次の理由から値動きのクセが強い銘柄です。

JAL株の値動きのクセ
・上昇ペースが穏やか
・外部要因(原油・天候・世界情勢)の影響を受けやすい

安定して右肩上がりに成長するタイプではないので、株価の下落をなるべく避けたい人や株価チャートの見やすさを重視する人には向かない可能性があります。

JAL株は今買うほうがいい?|買い時の見極め方

指標から買い時か判断する

JAL株のPER:11倍
※2025年12月1日現在

JAL株の現在のPERは11倍です。

15倍を超えると割高と言われるため、現在の株価は割安な状態です。

そのため、中長期的な目線では、PERが低い今が買い時の可能性があります。

今後注視すべき指標

JAL株への投資を今後を判断するうえで、投資判断の“核”になる指標だけを、できるだけ分かりやすく整理しました。

原油価格

原油価格は航空株で最重要と言っても過言ではありません。

JALは燃費効率の改善は進んでいるものの、依然として原油高には敏感なビジネス構造です。

原油価格とJAL株の関係性
・原油高:コスト上昇で利益を圧迫➡株価は下落
・原油安:利益改善➡株価が反発しやすい

為替

JALは円安になると、燃油費・機材費・整備費などのコスト負担が重くなります。

円安は訪日需要にプラス、コストにマイナスという「プラスとマイナスが混在」する複雑な影響があります。

そのため、次のことだけ覚えておけば大丈夫です。

円安がJALに与える影響
円安がプラスになるのは、訪日需要が爆発的に伸びているときだけ
・普段は燃油のコスト増のほうが大きいため、円安は JALにマイナスの要因

まとめ|JAL株は“リスクはあるが魅力も大きい”銘柄

JALは財務は健全で、短期・中長期のどちらでも投資ができる銘柄です。

・2010年の経営破綻時とは財務状況も事業構造も全く別物
・国際線収入が国内線を超える規模まで成長
・優待目的でも、投資目的でも扱いやすい

そのため、短期では外部要因に左右されやすいものの、
中期〜長期では 国際線の回復・訪日需要・コスト改善 が進んでおり、業績は着実に改善してきています。

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