景気敏感株としても知られる海運株の筆頭である日本郵船。
景気後退が指摘されている中、日本郵船の株価は今後上昇するのでしょうか、もしくは下落してしまうのでしょうか。
今回は、日本郵船がどのような企業であるかを解説し、投資を検討する上でのポイントをまとめました。
同社の業績、事業内容や今後の見通しについて考察・徹底解説していきます!
日本郵船とは?
改めて日本郵船とはいったいどんな会社なのでしょうか。
一言で表すと、
です。
グリーン船舶やデジタル化への投資を進め、安全性・環境保護にも注力している。
日本郵船の事業概要
日本郵船は海運を中心にグローバルに事業を展開する総合物流企業です。
一般消費財を運搬する定期船やライナー船を運航してほか、自動車輸送やLNGといったエネルギーを輸送する専用船の運航、また、ロジスティクスサービスも提供しています。
さらには、航空運送やクルーズ船事業など幅広い業務を展開しています。
日本郵船の海運業と物流の関係性
日本郵船は、海運と物流を総合的に展開し、船舶の運航だけでなく陸上の物流管理も重要視しています。
海上における船舶による輸送は、環境にも配慮されつつ、世界中のビジネスや生活に必要不可欠な役割を果たしています。
今後も陸上と海上輸送の管理を重視し、計画的な開発を進めていくことで、経済の発展に貢献することが日本郵船の使命です。
日本郵船の船舶運航の展開
日本郵船は、安全性を最優先に考え、技術開発にも注力しています。
陸上との総合的なロジスティクス活動に取り組み、ライナー船舶の構築や活用により、高い価値を提供しています。
今後も、事業の展開や技術の推進を通じて、顧客ニーズに合わせたロジスティクスサービスを提供することで、持続的な社会づくりに貢献していく計画です。
現時点の株価
2023年の年末から2024年の年始にかけて株価は大幅に上昇しましたが、2月に入ってからは下落傾向となっています。
企業分析
各指標について数値の確認をしていきます。
四季報スコア
各指標についてのスコアは下記のとおりです。すべて5段階評価です。
成長性:4
収益性:5
安全性:4
規模 :5
割安度:4
値上がり:5
※四季報オンラインより
四季報スコアは総合評価が「5」、そのうち「収益性」「規模」や「値上がり」が評価「5」となっています。
また、「値上がり」についても「4」から「5」に評価を上げました。
売上高の推移
決算期 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度(予想) |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 16,683 | 16,084 | 22,807 | 26,000 | 23,000 |
売上高は2020年度に減少しましたが、その後上昇を続けています。
しかし、今期については減収が予想されています。
営業利益の推移
決算期 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度(予想) |
---|---|---|---|---|---|
営業利益 | 387 | 715 | 2,689 | 2,900 | 1,280 |
営業利益は2021年度に大きく増加し、2022年度もさらに増加しました。
しかし、今期については大幅な減益が見込まれています。
業績悪化の理由としては次のようなことが指摘されています。(※日本郵船決算資料より)
今期減益となる理由
・荷動きの鈍化
・米国における取扱量の減少
上昇率は次の通りです。
営業利益率
※日経新聞より
日本の平均的な営業利益率が5%程度なので、大幅に上回っています。
しかし、長期的に見ると5%を下回ることもあり、景気に左右されやすいことがうかがえます。
なお、今期は5.8%と営業利益が予想されていますが、景気後退が指摘されている昨今の情勢を踏まえると、各四半期ごとにどのような数値となるのか注視する必要があります。
予想PER
※日経新聞より
参考までに15倍が平均と言われており、株価は割安と判断できます。
EPS(1株あたり当期純利益)
決算期 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
EPS | 61 | 274 | 1991 | 1993 |
EPSは2018年以降増加傾向が続いています。
特に、2021年度には前年の7倍ほどと大幅に増加しました。
なお、EPSは投資の神様ウォーレン・バフェットも重要視する指標の1つです。
彼はEPSが上昇傾向にある銘柄に投資するようです。
自己資本比率
※日経新聞より
60%以上あるのが望ましいと言われているため、その数値を下回っています。
しかし、長期的な視点で見ると、20%台で推移している状況が続いていました。
日本郵船の自己資本比率が低い理由として3つ考えられます。
日本郵船の自己資本比率が低い理由として考えられること
・高額な投資:新造船の導入や老朽化船の代替に大きな資金が必要であり、大規模な投資を行うことが多いから。
・株主還元の拡大:日本郵船は、財務政策として、株主還元に力を入れています。そのため、利益を配当や自己株式買い取りに充てることが多く、自己資本比率が低くなる傾向があります。
ROE(自己資本当期純利益率)
※日本郵船HPより
8.0以上あるのが望ましいと言われているので、その数値を大きく上回っています。
しかし、長期的な視点で見ると、8%を下回ることも多くやはり景気の影響をかなり受けるということが言えます。
1株当たり配当金
決算期 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
1株配(円) | 13 | 67 | 483 | 520 |
1株当たり配当金は2021年度に大幅に増配し483円となり、2022年度には520円とさらに増配されました。
また、2023年3月に発表された新中期経営計画において、新たな株主還元方針が示されました。
新中期経営計画で示された株主還元方針
・自己株式取得
・配当性向:従来の25%から30%へ引き上げ
・1株当たり配当の下限を設定
・適宜追加還元
目標株価
目標株価はいろいろな機関で算出されていますのでいくつかピックアップします。
目標株価はプラスとマイナスどちらの数値も算出されています。
これについては、2021年度、2022年度と好業績が続いたものの、これらの業績が過去と比較しても異常に高く、来期以降の業績が不透明であることや、
アメリカや欧州をはじめとして景気後退が指摘されている中での不透明感が反映されたものであると考えています。
しかし、四季報の値上がり評価が「5」であることを考えると、長期的な視点で購入することは検討してもいいかもしれません。
企業の印象
その企業の株を購入するということは、その企業を応援するということになります。
ここまでは、数値をもとに分析をしてきましたが最後は応援したい企業かどうかをHPから確認していきます。
チェックするポイントは次の点です。
企業のチェックポイント | 判定 |
---|---|
HPの見やすさ | 〇 |
社長(代表)が顔を出しているか | 〇 |
決算説明会の様子 | 〇 |
決算説明会資料の見やすさ | 〇 |
結果、日本郵船の印象は次の通りです。
日本郵船のHPは、比較的シンプルで見やすく、主要な情報がすぐに把握できます。
決算説明会の模様は、質疑応答も含めて動画で配信されており、資料の内容をより深く把握することができます。
おすす
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日本郵船への投資判断
今回は銘柄分析として日本郵船を取り上げました。
最初に日本郵船の企業情報について紹介し、 次に、株価や業績に関するデータが掲載して投資に係る判断材料を示してきました。
日本郵船は過去2年間の業績がとてもよく、高配当銘柄としてもしばしば雑誌などで紹介されていました。
しかし、景気敏感株でもあるため、今後の業績や株価の推移により一層着目して投資判断を行う必要があります。
最後までご覧いただきありがとうございました!
※投資に係る最終判断はご自身でお願いいたします。